羽根屋の会をしました

富美菊酒造の女将さんを招いて、羽根屋の会をしました。

富美菊酒造

羽根屋との出会いは、五反田のでり坊(今はもうない)でやっていた日本酒ブラインド試飲会で、友人が持ってきた時です。1年半くらい前かな。この会は各季節ごとにやっていて、だいたい10数種類あるなかで、ぶっちぎりの1位をとりました。私も羽根屋がすごく気に入り、どこで入手できるのか調べたら、職場に近い、人形町の新川屋佐々木酒店さんで扱っていました。

新川屋佐々木酒店

五反田のでり坊は店長の好意で日本酒を持ち込ませてもらえていたので、佐々木酒店でお酒を買っていました。去年の3月頃に出た槽場直汲みが非常に美味しく、これをよく持って行っていました。あの大地震の後で心細くなっていたのもあったでしょう。家に返っても一人だと心細いため、人を求めて週に2,3日行くようになっていました。でり坊に行けば、かならず誰か友だちが飲んでいるからです。いないときもありますが、他に客がいないときは店長が相手をしてくれていたので、寂しい思いをする心配がないのです。
日々飲んだり、もともとでり坊で友だちがやっていたブラインド試飲会、うまいもの会などで飲んでる後、友人の一人が自分ひとりで1つの蔵の色んな日本酒をそろえて飲む会を企画してくれました。そのときは醸し人九平次を10数種類用意してくれました。私もそのアイデアをマネさせて頂き、鳳凰美田手取川、鍋島の会をやらせてもらいました。ただ、これらは自分が酒屋でお酒を買って持ってきているだけで、よく飲み屋である、蔵人を囲む会ではありませんでした。そこで、よく蔵人を囲む会を企画されている佐々木酒店さんに、蔵人を呼ぶにはどうすればいいか尋ねたところ、佐々木酒店さんが企画してくださると言って下さったので、お願いすることにしました。会場はもちろん、でり坊!なのですが、去年の夏ごろからはせがわ酒店が羽根屋を扱いだして、ただでさえ数の少ない羽根屋が入手しづらく、お酒がそろっている時期を調整していたら、今年の1月にでり坊五反田店が閉店することになったため、会が実施できるか怪しくなりました。

余談ですが、この店長は今別の店で最近働き出したため、会いたいときには会えるようになりました。
かもすや酒店

さて、別の会場を用意しなければならなくなったのですが、実はあてが一つだけありました。それが、日本橋 蛇の市本店です。こことの出会いは自宅の近所にある(というのは少し離れてるけど)矢島酒店さんからの紹介でした。
私は日本酒を飲みだして4年くらいになるのですが、最初はお酒が一切ダメで、果実酒がなんとか飲めるくらいでした。当時人形町で一緒に仕事をしていた方(現在はボス)に飲みに誘って頂いたときにそれを言うと、「ふざけんな、馬鹿。お前が知らないだけだ。」と怒られ飲みに行ったのが、うぽっぽという店で、そのとき最初に飲んだ日本酒が、鳳凰美田 かすみ生です。これが非常に美味しくて、あまりにも美味しくて、「私が間違っていました」と謝ったくらいです。
それから暫く日本酒を飲み、自分でも買おうと思って最初に手を出したのが、最初に美味しいと思った鳳凰美田で、これを扱っている店を探したら、矢島酒店さんを見つけました。昨年、そこで友人と行ったときに、而今というお酒に出会いました。それまで而今は知らなかったのですが、友人が「おいしいよ」と言っていたので1本もらって飲んだら、とても美味しかったので、その後何本か購入させてもらいました。
暫くして、去年末頃、twitterfacebookだかで矢島さんが而今の八反錦を日本橋の蛇の市さんに卸したという発言をしていて、いきなり1升買いに行く前に飲めるのなら飲んでみようという軽い気持ちと、以前から寿司飲みをしたかったけど日本酒が微妙なのが多く、矢島酒店さんが卸しているなら無茶なお酒はないだろうという気持ちで行きました。
そのとき、矢島酒店から話を聞いて来たとか、店長が羽根屋が好きだけどどこで入手できるか分からないというので、佐々木酒店さんで扱ってるよ、と紹介したり、店長の友人がやられてる蔵の話など、色んな話をした後、通い続けるようになりました。
そのとき、まだでり坊の閉店が公表されてないときに、羽根屋の会の話をしてたら、「うちでもやってよー」と言われていたのを思い出して、「かわりに」という言い方は申し訳ないけれど、この店でやらせてもらえないかとお願いしたところ、二つ返事で了承してくれたのです。

矢島酒店
日本橋 蛇の市本店
うぽっぽ

あとはもう、私はどうしたらいいのか分からなかったので、すべてお任せしました。丸投げといってもいいくらいかもしれません。だいたいの金額だけ決めました。西日暮里の稲毛屋でやられてる会が6000円だったので、同額にしてもらいました(今はうなぎの高騰で6500円になってますが)。そうするとだいたい、お酒2000円、料理4000円。羽根屋は比較的安いお酒が多いのですが、こういう会だし、けど人数が少ないとお酒がそろえられないので、佐々木酒店さんと蛇の市さんでも募集してもらうようにしました。そうすると、すぐに満席になりました。
蛇の市でこういう会をするとき、2階を貸切で行うので26人になります。私は14人枠をとっておいてもらったのですが、13人しか集められず、申し訳ないと思って昨日行ったら26人いて、驚きました。
料理はお寿司を入れなければ、結構良いものがでるんだというのは、先日の辨天娘の会で学びました。寿司屋だけど、コース料理として江戸前料理も扱っているそうで、それをメインにお願いしました。


さて、先ほど13人しか集められなかったと書きましたが、それもなかなか大変でした。でり坊で飲んでる仲間を考えればもっと集まっていただろうけど会場はでり坊ではない。また、他の日本酒のつながりの人もいたけど、最近お仕事が忙しいようでこれそうにない。ましてや、寿司屋で、場所が日本橋です。それだけで何か別次元の場所だと思っている方もいるようで、思ったほど集まらず(店から声をかけてもらえば簡単に集まったようですが)。私はtwitterでは飲んでるお酒ばかりをつぶやいてるのでフォロワーにはそういう人が多いのですが、そういう人たちに声を掛けても結局参加者は一人。とはいえ、この一人も非常におもしろいつながりで、新宿に行ったときに空き時間があったので、インフラエンジニア双六を買うために寄った同人誌を扱ってる店で日本酒同人誌を買って、twitterでつぶやいたときにフォローしあった方なのです。


というわけで、前書き終わり。
無事に会を開催することができました。


今回出たお酒は次の通り。

  • 大吟醸 袋吊り斗瓶囲い(金沢国税局優等賞受賞酒)
  • 大吟醸
  • 大吟醸にごり
  • 純吟 無濾過中原酒 八年氷温熟成(ぬる燗)
  • 純米大吟醸
  • 純吟 煌火
  • 純吟 槽場直汲み無濾過生
  • 純吟 槽搾り
  • 純米 中汲み
  • 純米 中汲み 原酒
  • 純米 五年 原酒
  • 特吟 中汲み

料理は次の通り。

  • 先付:蚕豆豆腐
  • 向付:桜鯛の薄造り もみじポン酢
  • 酒肴八寸盛り:
    • 野蒜の共味噌和え
    • 法蓮草の出汁巻玉子
    • 稚鮎の天婦羅
    • 春菊ソース
    • たらの芽とサーモン
    • 山葵黄身酢
    • 筍の土佐煮
    • 細魚と海老の小袖鮨
  • 焼物:鰆の西京焼き
  • 鮨:春のばらちらし
  • 甘味:抹茶プリン

優等賞受賞酒、にごりはやっぱり期待通り美味しいお酒でした。純米大吟醸は悪くはないけど、いつもの普通酒が好きかな。
煌火は完全に五百万石に移行するためのお酒だそうです。富の香はもともと少ないうえ、昨年の震災でなかなか仕入れづらくなったという事情もあるそうです。
槽場直汲みは去年の方が好きだったけど、もともとこの味が目指していたもので、1,2年前からそれをうまく出せずに試行錯誤していたようです。私は去年の方が好きなのですが、料理に合わせるならこの味もとても良いと思います。
古酒は5年も8年も普通流通しないお酒です。数本流通したそうですが、昔からの付き合いがある酒屋に数本だけで、蔵人が参加する会のときに持ってきてもらえるかも?というレア酒です。去年末、稲毛屋さんで羽根屋の会の時になかったので、なんでないのか聞いたのですが、まさかそれで出てくるとは・・・

料理は酒肴八寸盛りがとてもおもしろかったです。先日の辨天娘の会では酒龍馬みたく、3x3の升目皿に9品盛りでしたが、今回は何もないお皿と料理をばらばらに用意され、それを各自が自分のお皿に盛り付ける、というものでした。みんな、真面目に盛り付けたり、無難においてたので、あえて私はお笑い担当で盛り付けました。こういうのもおもしろいですね。
みんながどのような盛り付けをしたのかは後日、蛇の市さんがアップしてくれるでしょう。ナンバーワンは誰かな?


当日の状況は佐々木酒店さんがUstreamで配信してくれています。佐々木酒店さんのホームページでみれるので、どんなことを話していたか思い出せないかたは見てください。